お役立ちコラム

成膜技術でよく使われるスパッタリング!
その原理と方法5つについて徹底解説

薄膜の成膜技術でもっともよく使われる方法のひとつが、今回紹介するスパッタリングです。
しかし、言葉は聞いたことがあっても、その原理や特徴まではよくわかっていないかたも多いのではないでしょうか。
そこで、この記事ではスパッタリングの原理と特徴・種類について解説していきます。

スパッタリングとは

スパッタリングは、薄膜形成方法のうち物理気相成長(PVD)のひとつです。
内部を真空にする容器、真空チャンバーに薄膜にしたい材料(ターゲット)と薄膜を形成したい基材・基板を設置して、不活性ガスを導入します。
電圧を加えてプラズマを生成させ、アルゴンイオンをターゲットに衝突させて飛び出した材料を基板にくっつけることで薄膜を形成します。
固体のターゲットを真空中で薄膜にするため、基板を液体などにさらすことなく成膜できます。

スパッタリングの特徴

スパッタリングには、以下のような特徴があります。

ステップカバレッジに優れている

プロセス圧力が高いので平均自由行程が短く、散乱が起こって凹凸がある基板にも成膜できます。

膜厚分布が取りやすい

成膜プロセスが安定しているので、膜質・膜厚の制御も高精度で行うことが可能です。

合金・高融点金属膜の組成制御に最適

高融点金属・合金・化合物の成膜に適しています。

酸化物・窒化物でも成膜できる

不活性ガスに加えて反応性ガスを入れることで、酸化物・窒化物を成膜することができます。

代表的なスパッタリングの種類

2極スパッタリング法

スパッタリング成膜の基本となるのが、2極スパッタリング法です。
この方法ではターゲットをマイナス極、基材・基板をプラス極にして電圧をかけ、プラズマ中の不活性ガスイオンでターゲットを叩き、飛び出してきた粒子を堆積させることで薄膜を作ります。
簡単な装置構造ですが、ガス導入量が多くなって成膜速度が遅くなりやすいのが欠点です。
また、基板がプラス極なので二次電子が照射され、高温やすいので注意してください。

マグネトロンスパッタリング法

マグネトロン法は、2極スパッタリング法の成膜速度の遅さを改善するための技術です。
基材・基板が高温になりにくいものの、ターゲットの利用効率が悪くなりやすい欠点があります。

DCスパッタリング

DCスパッタリングとは、電源として直流電源を用いる方法です。
ターゲットをマイナス極にするので電気を通すターゲットでないと放電が起こりません。
そのため、DCスパッタリングでは導電体しか成膜できないという制限があります。

RFスパッタリング

RFスパッタリングとは、高周波電源を使って成膜を行う方法です。
高周波をかけることでセラミックスやシリカなどのターゲットでもプラズマを発生させることができます。
電気を通さない酸化物などの成膜に利用されていますが、DCスパッタリングよりも成膜速度が遅いという欠点があります。

反応性スパッタリング

反応性スパッタリングとは、不活性ガスと反応性ガスを混合・導入してスパッタリングする方法です。
主に、酸化物や窒化物の化合物薄膜を形成する際に用いられます。
薄膜の組成を制御しやすく、RFよりも高速で薄膜を作ることができます。

スパッタリングの方法をしっかりと把握しよう

本記事では、薄膜形成によく使われるスパッタリングについて、その原理と主に使われる薄膜形成方法を解説してきました。
スパッタリング技術はしっかりとした薄膜を作る方法のひとつですが、方法の選択を間違えると成膜に時間がかかる、そもそも成膜できないなどの問題も出てきます。
本記事で、スパッタリングに関する知識をしっかりと身につけましょう。

ジオマテックの『透明導電膜・ITO膜』に関する知見とスパッタリング法による薄膜形成技術は、世界最高峰を誇ります。

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