お役立ちコラム

フォトリソグラフィとは?
その原理・工程・今後の展望について詳細を解説

半導体デバイスや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの製造に使われる、パターン作成技術のひとつが、今回ご紹介するフォトリソグラフィです。
半導体製造プロセスの微細化が進み、フォトリソグラフィの技術も進歩を続けています。
薄膜のパターニングに欠かせないフォトリソグラフィの原理・工程・今後の展望について解説します。
技術を知るときの参考にしてください。

フォトリソグラフィとは

フォトリソグラフィの英語表記は、「photolithography」です。
「フォト」と「リソグラフィ」を組み合わせた、その名のとおり、写真の現像技術を応用したパターン作成技術のことをいいます。
ちなみに、「リソグラフィ」は石版印刷を意味します。

この技術は、感光性の物質(フォトレジスト)塗布し、露光、現像してパターンを形成する技術です。
半導体集積回路・プリント基板・印刷版・液晶ディスプレイなど、パターニングを必要とするさまざまな製品の製造に使われています。

フォトリソグラフィの工程

ここでは、フォトリソグラフィの基本的な工程について説明します。

コーティング

基板表面を精密洗浄してからパターニングする薄膜をコーティングします。
基板にわずかでもゴミや汚れが残っていたり、薄膜に欠陥があったりするとパターンの仕上がりに影響するので注意が必要です。
以下の記事では、コーティング技術であるスパッタリングの原理について解説していますので、あわせてご覧ください。

レジスト塗布

薄膜の上に有機溶剤で溶かしたフォトレジスト(感光材)を塗布します。
フォトレジストは、ネガ型とポジ型があります。
露光により感光した部分がパターンになるのがネガ型、露光により感光しない部分がパターンとなるのがポジ型です。

プリベーク

プリベークで、フォトレジストを基板に固定します。
有機溶剤を蒸発させるために十分な温度(80~100℃)に加熱します。

露光

基板に固定したフォトレジストに、光(紫外線)でフォトマスクのパターンを転写します。
フォトマスクとは、ガラスまたはフィルムで作られたパターンの原版です。
写真にたとえるとフォトマスクが「ネガ」にあたり、フォトレジストは「印画紙」にあたります。

現像・リンス

露光した基板を現像液に浸して現像します。
ここではじめて基板にパターンが現れます。
現像後は、リンス液ですすいでしっかりと洗います。

ポストべーク

プリベークよりも高い温度に加熱して、リンス液を完全に除去するとともに基板にレジストを焼き付けます。
これにより、レジストがエッチング工程に耐えられるようにします。

エッチング

エッチングとは、表面を削る工程で、ウエットエッチングとドライエッチングの2種類があります。
ウエットエッチングは、化学薬品で表面を腐食させて削ります。
レジストがある部分は薬品に触れずに残り、ない部分が削られることで薄膜のパターンが形成されます。
近年、化学薬品ではなくプラズマを利用するドライエッチングが使われるようになってきました。

ドライエッチングは微細なパターンの形成に有利で、化学薬品による環境汚染リスクが低いという利点がありますが、コストが高くなります。
エッチングしたあとに不要になったレジストを除去すれば、薄膜のパターンが完成します。

フォトリソグラフィ技術の今後の展望

パターンの微細化が進み、フォトリソグラフィの技術も進歩を続けています。
フォトマスクと基板を近接させて露光する方法では5~10µmの解像度、密着させる方法でも1µmが限界です。
位置精度が求められる半導体製造プロセスでは、フォトマスクのパターンを基板に投影して露光する方法が使われています。
露光に使用する光の波長を短くすることで、nmオーダーの微細なパターンが可能になります。
水銀ランプのi線(365nm)、エキシマレーザー(KrF: 248nm、ArF: 193nm)、さらにそれらより大幅に波長の短いEUV露光装置が実用段階になっています。

今後の新技術も視野に入れてフォトリソグラフィを使おう

フォトリソグラフィ(リソグラフィ)の原理や工程、今後の展望について解説しました。
半導体製造プロセスの微細化にともなって新しい技術が開発されています。

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