お役立ちコラム

ロボットセンサとは?
センサの種類について解説

近年、ロボット技術は目覚ましい進化を遂げています。
産業用ロボットだけでなく、人が立ち入ることが難しい危険箇所での調査や作業などを行うフィールドロボット、人々の暮らしを支え、豊かにするサービスロボットなど、その種類は多岐にわたります。

あらゆる分野で活躍しているロボット、その全てに搭載されているのが「センサ」です。
今回は、ロボットにどのようなセンサが用いられているのか、その種類や役割を詳しく解説します。
ロボットセンサについての知識を深めたいかたは、ぜひ参考にしてください。

ロボットセンサとは

まずは、センサの定義やロボット制御の仕組みを整理しておきましょう。
これらを踏まえて、ロボットセンサについて掘り下げていきます。

そもそもセンサとは、周囲の環境や状況の変化を情報として収集し、機械が取り扱える電気信号に変換するデバイスのことを指します。
人間に例えると目(視覚)や手(触覚)、三半規管(平衡感覚)などの感覚器官にあたります。
センサが収集した情報は、電気信号に変換された後、ロボットの頭脳であるコンピュータに送られます。
コンピュータが信号を処理して状況を判断し、アクチュエータに指示を送ることで、ロボットが動作します。

実際のロボットの制御は、複数のセンサの情報を統合する「センサフュージョン」であり、複雑で高度なものですが、基本的にセンサの情報、コンピュータの処理、ロボットの動作が繰り返されていると捉えてよいでしょう。

ロボットセンサの種類

センサが収集する情報は、温度や光、音、速度、力など実にさまざまです。
ロボットにおいても、多種多様なセンサが用いられていますが、ロボットセンサでは「内界センサ」と「外界センサ」に区分することが一般的です。

内界センサ

「内界センサ」は、ロボット内部・ロボット自身の状態を検出するためのものです。
では、内界センサの例をみていきましょう。

エンコーダ

エンコーダは、移動量や回転方向・角度などを検知し、情報として出力するセンサです。
位置や速度を制御するセンサとして事務機器や工作機械、産業用ロボットなど、広い分野で用いられています。

エンコーダには、直線の変位を検出する「リニアエンコーダ」、回転の移動量・角度を検出する「ロータリーエンコーダ」の2種類があります。
このうちロータリーエンコーダは、モーターと併せて用いることが一般的で、モーターの回転方向や回転数を制御する役割があります。

ポテンショメータ

ポテンショメータは、直線運動または回転運動による位置の変化を電気信号に変換する可変抵抗器です。
オーディオのボリューム、カメラのズームレンズ、自動車のパワーステアリング、ゲームのコントローラなどに使われていて、精密な測定ができることから変位センサとしてロボットの制御に活用されています。

ジャイロスコープ

ジャイロスコープは、ジャイロセンサ・角速度センサとも呼ばれ、ジャイロ効果を利用して物体の回転や向きの変化を検知します。
身近なジャイロスコープとしては、カメラの手ブレ補正機能やカーナビなどがあります。
二足歩行のロボットは、ジャイロスコープで姿勢制御を行うことで倒れずに安定した歩行を実現しています。

加速度センサ

加速度センサは、慣性力を検知するセンサです。
慣性力とは、物体の移動速度が変化するときに生じるもので、急ブレーキで体が進行方向にもっていかれるように感じる力のことです。
力を検知するセンサなので、速度の変化だけでなく、重力、振動、衝撃なども測定することができます。
たとえば、スマートフォンの傾きの変化を認識して画面の表示を縦から横に変えたり、衝撃の強さを検知して自動車のエアバッグを作動させたりするために使われています。

ロボットでは、三次元の動きを計測することで、位置情報の取得や異常振動の検出などに使われています。
現在は、加速度センサとジャイロスコープを組み合わせることで複雑な動きを高精度で計測できるようになっています。

ひずみセンサ

ひずみセンサは、ひずみ、たわみ、振動など、さまざまな力の検出に用いられます。
力を受けて変形したときに電気抵抗が変化するひずみゲージを使って、力を測定しています。
ロボットの内界センサにおいては、構造材の振動や異常加重の検出などに用いられます。

外界センサ

「外界センサ」は、ロボット周囲の環境・状況を把握するためのセンサで、人間の五感に相当するようなセンサです。
視覚に相当するセンサとしてはイメージセンサやフォトトランジスタ、触覚は圧力センサや温度センサ、聴覚はマイクを使った音センサ、臭覚では臭いセンサとしてガスセンサなど、味覚では化学センサの一種である味覚センサなど、さまざまなセンサがあります。
近接距離センサは、赤外線センサや超音波センサ、LiDAR、静電容量型近接センサなどがあり、非接触で物体を検知することができます。

ロボットセンサの将来性

ロボットセンサ市場は、今後ますます拡大していくことが予想されます。
海外の調査会社Report Oceanによると、2030年にロボットセンサの市場規模が42億米ドルに達すると予測しています。

その理由としては、各産業において自動化技術の採用が増加していることが挙げられます。
産業用ロボットの導入背景には、効率化と省力化、そして精度アップといった目的があるほか、コロナ禍による自動化ニーズも影響しています。

また今後は、よりスマートなロボット構築を目指すべく、採用されるセンサのバリエーションや数はさらに増加していくものと見られています。
また、ローコストでコンパクトなロボットセンサの開発も進んでいることから、小さな企業でも自動化技術を採用することが予想されます。
これらは、ロボットセンサの市場拡大を後押しする要素となり得るでしょう。

さまざまなセンサに用いられるひずみゲージ

ロボットセンサの種類や役割について解説しました。
今回ご紹介した加速度センサやひずみセンサには、さまざまな力を計測するための「ひずみゲージ」が用いられています。
ジオマテックの薄膜ひずみゲージは、高感度と温度安定性の両立を実現しました。
薄膜形成技術と薄膜パターン形成加工技術により、薄膜の特長を活かしたカスタマイズが可能です。

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