お役立ちコラム

ビームエキスパンダーとはどういう機材?
その原理と構成・選定のポイントを徹底解説

ビームエキスパンダーは、平行光の直径を拡大するために使われます。
レーザー加工機や光干渉計などに使われますが、なかなか馴染みの薄い機材です。

そこで、この記事では「ビームエキスパンダーとは何か?」という基本的なところから、その原理や構成、選定する際に見るべきポイント等について詳しく解説します。
本記事を参考にして、導入の参考にしてみてください。

ビームエキスパンダーとは

ビームエキスパンダーとは、レーザービームを取り扱う際にビーム径を拡大するために使う光学機器です。
主な使用用途として、レーザー加工機、光干渉計などのアプリケーションがあります。
レーザー加工機で、ビームを集光したときのスポット径は、レンズの焦点距離が一定であれば入射するレーザー光のビーム径に反比例します。
そのため、ビーム径が大きいほどスポット径は小さくなるのです。
たとえば、スポット径を2分の1にしたときのパワー密度は4倍で、スポット径を小さくすることで、熱の影響を抑えて効率よく微細な加工ができるようになります。

ビームエキスパンダーの原理

ビームエキスパンダーのデザインは光学式望遠鏡から発展しています。
原理は屈折式望遠鏡と同じです。
屈折式望遠鏡はケプラー式とガリレオ式の2種類があります。
どちらも2枚のレンズを使い、光源に近いレンズを「対物レンズ」、もう一方のレンズを「像側レンズ」と呼びます。

ケプラー式は、凸レンズを2枚使い、それぞれのレンズの焦点距離の和だけ離してレンズを配置しています。
2枚のレンズの間に焦点があるのが特徴です。
ガリレオ式では、凸レンズと凹レンズを各1枚使います。
そのため、全体を短くでき、間に焦点を結びません。

ビームエキスパンダーの構成

ビームエキスパンダーは、入社したコリメート光(平行光)のビーム径を拡げる役割を果たすレンズと、広がった光をコリメート光に戻して出射するレンズで構成されます。
ビームエキスパンダーの場合、光源に近い方に「像側レンズ」を、その反対側に「対物レンズ」を配置します。望遠鏡とは配置が逆です。
ケプラー式と同じく凸レンズ2枚でビームエキスパンダーを作る場合は、ビームエキスパンダーの内部に焦点を結ぶため、それを利用した空間フィルタリングでビーム品質を向上させることができます。
一方、凸レンズと凹レンズを1枚ずつ使ったガリレオ式のビームエキスパンダーには焦点がないため、高出力レーザーアプリケーションにはガリレオ式が適しています。

ビームエキスパンダーの選定

適切な性能のアプリケーションためには、しっかりとした基準で製品を選ばなければなりません。
ここでは、製品の選定の基準について紹介します。

レーザーの波長と倍率

ビームエキスパンダーの基本仕様は、レーザー光源の波長、光源から出射されるビーム径とアプリケーションで利用したいビーム径の比(拡大倍率)で選定します。
レンズにはレーザーの波長に最適化した反射防止膜がコーティングされています。

ピント(発散角)調整機構とズーム(可変倍率)機構

レーザー光源の特性や光の回折の影響があり、実際には完全なコリメート光は存在せず、ビームエキスパンダーで拡大したビームには、発散角(平行からのズレ)があります。
発散角が問題になる場合は、ピント調整機構が重要です。
また、光源からの出射ビーム径にばらつきがあったり、倍率を調節したい用途で使ったりする場合は、ズーム機構があると便利です。

反射型ビームエキスパンダー

レンズを使った透過型ビームエキスパンダーのほかに、曲面ミラーを使った反射型ビームエキスパンダーがあります。
透過型ビームエキスパンダーは、波長によって倍率や出射光の発散角が変化するためレーザーの波長ごとに設計されています。
それに対して反射型は広い波長帯域で使用できます。
いろいろなレーザー光源を使うシステム、特殊な波長のレーザー、チューナブルレーザーなど、一般的な透過型ビームエキスパンダーが使えない場合は、反射型も選択肢になるでしょう。

ビームエキスパンダーを選ぶ際は、仕様に気をつけて

「ビームエキスパンダーとは?」という基本的な事項から、その原理・構成、選定する際のポイントについて解説しました。

ジオマテックは、反射防止膜のコーディング技術とレンズ設計で高性能なビームエキスパンダーを提供します。
基本波、SHG、THG、固定倍率、ズームタイプなど、さまざまな機種をラインナップしています。
詳しくはこちらの「ビームエキスパンダー」のページをご覧ください。

  
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