お役立ちコラム

熱電対の原理・種類・使うときの注意点についてわかりやすく徹底解説

工業用の温度センサーとして、幅広い分野で使われているのが熱電対です。
そこで、この記事では熱電対の原理から、種類や選び方、使うときの注意点について説明します。
熱電対を選ぶときの参考にしてください。

熱電対とは

熱電対とは、2種類の金属をつなげた温度センサーです。
シンプルな構造で、ほかの温度センサーと比べて安価なため、広く使われています。

熱電対の原理

熱電対の原理は、2種類の異なる金属線の両端をつなげて、その2つの接点に温度差があると電流がながれる現象を使っています。
電流がながれるということは電位差が生じているということで、この電位差を熱起電力といいます。
この現象は、1821年にドイツの科学者であるゼーベックが発見したもので、「ゼーベック効果」と呼ばれています。
熱起電力の大きさは金属の種類と温度差で決まるので、電圧を測れば温度差がわかるというわけです。

熱電対の種類

熱電対は、金属の組み合わせによって記号が決められています。
日本工業規格(JIS C 1602:2015)では9種類が規格化されていて、貴金属を使ったものがB、R、Sの3種類、そうでないもの(ベースメタル)がN、K、E、J、T、Cの6種類です。

熱電対の選び方

熱電対は、その種類によって使える温度範囲や測定精度などが違っていて、測定したいものや環境にあわせて適切なものを選ぶ必要があります。
工業用で広く使われているのは、K、Jです。
1000℃を超えるような高温では、貴金属熱電対B、R、Sを使います。
精度良く低温領域を測定したい場合は、Tが適しています。
それぞれの特徴を調べて、適切な熱電対を選んでください。

熱電対を使うときの注意点

熱電対の原理で説明したとおり、電圧として測定できるのは温度差なので、温度を測定するにはセンサー部分の反対側の接点(基準接点)の温度を知らなければなりません。
熱電対をつなぐ計測器には、通常は基準接点の温度を補正する機能を備えています。

また、熱電対と計測器を延長して繋ぐときは、必ず熱電対の種類に対応した補償導線を使います。
補償導線は、熱電対とつないだ接点と、計測器との間の温度差を補償するために必要です。

熱電対は用途にあわせて選んでください

本記事では、熱電対の原理から、種類・選び方・注意点について解説してきました。
熱電対はシンプルな構造で、さまざまな種類があり、高温や低温の環境でも精度の高い測定をすることが可能です。
この記事を参考にして、適切な熱電対を選ぶようにしましょう。

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